奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで
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一例報告
2014年8月18日
医学の世界では、「一例報告」というのは重要視されない。沢山の例を集めて立証する。個体による奇形などの要素が大きいからであろう。生命に関わる「安全」という事が重要であるから当然のことであろう。しかし、綿密な観察は大まかな観察による報告よりも大切な発見をするチャンスでもあるので、一例報告を大切にする科学者もいる。それが建築においては「設計者」による仕事、なのではないだろうか。ある個人が、自分の家の設計を依頼する。そこには個体による特殊な条件が示される。が、そこで創造される建物は、綿密な観察による一例報告である。それがとても大切なことに思える。「よく考える」ことが出来る世界なのだ。高い質の物が揃っている便利なスーパーで買い物をする世の中になり、八百屋さんや魚屋さんが消えてゆく。設計事務所も消えてゆく。質の高い建売住宅の設計をする人は、よくよく考えた結果、それがいいと思ったにちがいない。それが今の世の中であるのだが、一例報告も大事にしたいと思う。