奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

ファッション


2014年7月3日

木曽のみたけ村は、人口が25.000人くらい。幅8km長さ20kmでとんがった先がおんたけ山の頂上に至っている村である。慶長二年という棟札をもつ家もある古い民家の多い地域である。点在する2寸7分~3寸勾配で軒の出が4尺5寸ほどの切妻の家は見事に風景に溶け込んでいる。時代を分けると明治半ば以前は平屋で、養蚕が盛んになってから二階建てになっている。たたずまいが違うが共通のプロポーションが引き継がれている。実に美しい。平面にも特徴があって、日本の民家研究家の扱っていない「三列形」である。私は、これはファッションだと思った。気候や生活習慣、風景も考慮にいれた設計をした人がいたのだ。木曽に「勘考いい」という言葉があるが、かんこういい人がいたのだ。そして村の人々は「おらも、家を建てるなら、あの勘考いい家と同じにしたい」と思った。その結果がこの美しい村の風景を作り上げた、と思う。村の青年団と一緒にやった実測図面もある。本当は岡本茂雄さんが撮ったスバラシイ写真もあるのだが…。