奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

先生が広い野原のようなところで、半腰の姿勢で遠くをねらってカメラを構えている写真がある。先生はその時なにを撮ろうとしていたのだろうか、それはわからない。しかし、その写真はとてもいい。遠い景色をねらっているに違いないからだ。私が子供のころ、目白通りの千登世橋を通るとき「わーいい景色」と言ったそうだ。今みるとたいした景色でもない。何をもって「いい景色」といえるのだろうかと考えると「遠くが見える」が原点であることがわかる。きっと何かがある気がするし、行って見たい気がする。

まわりにすでに家が建っているところに新しい家を建てるときは、この角度から見ると一番遠くが見える、というところに大事な窓をもってくる。それが台所の窓なら、毎日お料理をしながら遠くが見える。四季折々の木々の色が変わる。風も変わる。遠い景色は豊かである。

遠い景色

2012年6月4日