奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

いろんな色


2014年3月24日

奥村昭雄がつかまるためにトイレに32φのクロームメッキの手すりを付けた。入り口のそばに床から天井まで縦に立て、便座に腰かけるときに丁度良い高さに横のパイプを付けた。後ろに窓があって、天気によって天空の色が違い、そのパイプが違う色に見える。

正確には、パイプとその周辺の漆喰の壁がいろんな色に見える。  

京都に行ったとき、樹がたくさんあって苔が生えている祇王寺の庭に、細い格子とそれに絡まる蔓が七色に見える、という丸窓があった。何故七色にみえるのか、疑問が残ったまま帰ってきた。

それが解った。パイプの色は日によって違う。丸いから真ん中へんと上の方と下のほうでは又違う。赤っぽい金色になったり、クリームっぽい銀色になったり、影は黒いがただ黒いのではなく青っぽかったり茶色っぽかったり、緑っぽかったりする。それをぐっと見ていると、、、ちょっと目を動かしたときにその反対色が見える。主として紫なのだが、その紫が赤っぽかったり、青っぽかったりする。七色以上あるではないか。

丸窓に絡んでいる蔓は枯れて白っぽく、庭の緑は木陰と苔が織りなす色に満ちている。反射する色に不足はない。どうしても目は動くから、補色が見えても不思議でない。わかったゾ、と感心した。

あるとき「煙突の色は何にしましょうか」ときくと吉村先生は「みえない色にしてくれよ」と言われた。緑と青が少し混ざった灰色にした。