奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

屋根の形


2014年2月17日

林雅子さんは優秀な設計家であった。私が「にゃんこの設計は、要するに屋根を作っているのね。建物の中身じゃなくて」と冗談に言うと「そオよー。よくわかったわねエ」と言われた。私が小学校の6年の時母親と博多まで旅行した。今とは違って汽車の旅はゆっくりで景色を眺める時間が長い。遠くに近くに見える家の屋根の形をスケッチした。まだ設計の仕事をするなんて思ってもいなかったが遠藤新さん設計の学校で生活していたので自然に家の形に目が向いたのだろう。その時感じたのは、地方によって屋根の勾配が違うということだった。壁の面積がちがうから立体の重さも違う。面白いもんだ、と思った。なぜ地方によって形が違ってくるのか、それは山の形と関係がある。全体の景色が一つのデザインを構成している。長い日本列島の屋根の形の地図をつくると地質学的な構造が見えてくるかもしれない。吉村先生はそれを観察していた。