奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで
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見積もり
2012年9月3日
吉村設計事務所には大隅さんという見積もりの神様がいた。大木建設の出身。設計をしている者どもの机の間を歩き回りながら「、、、、さん。この図面ではいい仕事はできないよ。拾いも出来ないよ」「どうしてここの寸法が違って書いてあるの」などと言う。設計者は必ず見積もりをする、というのがよい設計をするための条件である。左官の数量は材料の塗り厚の中心の長さで面積を出す。克明に拾ってから安全率を掛ける。虎の門のNCRビルの工事中にオイルショックで急激な資材の値上がりが起こった。日頃の訓練が効を奏して克明な値上がりの見積もりを作り建て主に工事金額の追加を願い出たところ承認された(が、実際は建設会社が譲歩)。相見積というのをしないのも吉村設計事務所の信念だった。適正な金額が保証されないからだ。たとえ3社から出たものを査定してゆくと同額になってしまうから意味がない。よい建物を作る条件にはこういう条件があるということも、プロポーションという言葉の中に含まれていた。