奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

社会的な財産

2012年7月2日

ある家が壊されることになった。その敷地の地価が上昇したので、平屋や2階建てを建てておくべきではないというのが壊すことの理由であった。先生はさびしそうな顔を なさったが「仕方がないよ」と言われた。その言葉は、考え方が違うんだよ、という意味であったと私は思う。建物は人間が建てるが、たまたまお金を出した人がその建物に住んだり使ったりする権利を得るのだが、建物そのものは建った瞬間から社会的な財産となる。なぜなら、その建物を利用する人、その建物の前を通る人、すべての人はその建物を所有しているのだから。所有という概念がそもそも気に入らない。なんだってみんなのものだ。大事に使わなければバチが当たる。「先生、仕方がないよ、なんて言っちゃいけないような気がしますよ。」