奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

寸法のことだけを話題にして一晩飲み明かすことが実際にあった。飲みながら寸法についての論争をし、盛り上がる。寸法こそが人と宇宙を結ぶものだ。近藤さんのお父さんが醸造した、「寸法」というお酒は、〇△のレッテルで、宇宙に導く、宇宙にまねく、宇宙にいざなう、宇宙に馳せる、宇宙に遊ぶ、宇宙に酔わす、という副題付きでした。大きな襖につける大き目の引手は、普通の引手に比べると深さが少しだけ深い。襖を引くときに指にかかる力がちがうからだ。一升瓶を入れる戸棚の棚の高さは、瓶の蓋をコルクに替えた時にも入る寸法でなければいけない。ドアノブの高さやスイッチの高さは意見がバラつく。先生は急に細かいことを言うことがある。施主が「そこまで細かく考えて下さらなくても、わたしが自分でなんとかしますよ」と言ったのは台所の引出の中の仕切りの寸法だった。

寸法

2012年6月25日