奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

障子は明かりが透けるふすまである。吉村障子というものがあると信じている方たちがいるようだが、そんなきまったものはない。先生は、それぞれの空間にふさわしい障子やふすまを、それぞれの場合に考えて設計する。障子は部屋の照明である。大きな面が柔らかい光をつくるから、へやの隅々までがほんのりと明るくなる。ほんのりとした空間は広がりを作り、時間もゆっくり過ぎる。歩いている時にこの辺が明るいといいな、ということがあればそこに窓を作る。天窓は多くの場合明かるすぎるが、障子で緩和できる。桟の太さはリズムをつくる。まわりと中の桟の太さを同じにしたのはリズムの一つ。まわりよりも中の桟が細く、割も細かいのもリズムの一つ。メロディーとリズムがあって空間が成立する。

障子

2012年5月22日