リンゴット トリノ                                            Lingotto Torino Italy

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リンゴット

(Lingotto)は、イタリア・トリノの地区名。特にフィアットの巨大な自動車工場を指す。1916年より建設が開始され、1923年に操業開始。フランス人、ジャコモ・マッテ・トルッコ (Giacomo Matte´ Trucco)の手になる設計が大変ユニークで、非常に長い生産ラインは、1階の原材料加工から始まり、組み立てが進むにつれて、螺旋状のスロープを昇り、5階建ての上階へと繋がっていた。さらに屋上には、その螺旋を反復するかたちで、楕円形のテストコースが設けられた。コースの長さは一周1,1kmもあり、両端のカーブはバンク(カント)となっている。他に高層建造物の無かった時代、屋上のテストコースは秘密保持にも適していた。敷地面積は 40万平米で、当時、世界最大の工場といわれ、ル・コルビジェは「産業界でもっとも印象的な風景」、「都市計画の手本」とまで言ったという。フィアット・トッポリーノも含む歴代80以上の車種がここで生産された。


1970年代に入り徐々に陳腐化が始まり、1982年には工場は閉鎖された。当時、工場の将来についてもさることながら、自動車産業自体をどう回復させるか議論があった。再開発計画の設計コンペが行われ、レンゾ・ピアノ (Renzo Piano)の案に決定、1989年には老朽化した工場が、コンサートホール、劇場、コンベンションセンター、ショッピングモール、ホテルの入った近代的な複合施設に生まれ変わった。


屋上のテストコースは、映画『ミニミニ大作戦(The Italian Job)』(1969年年)に登場している。コース自体は屋上に現存しており、立ち入りも自由なため、観光スポットと化している。


2006年トリノオリンピックでも会場の一つとなり、リンゴット工場の一部がメインプレスセンターとして使用されたほか、「オーバル・リンゴット」というスケート場が敷地内に建設され、スピードスケートの会場として使用された。


施設

リンゴットにはオフィスなどの他、下記の施設が含まれる。

8ギャラリー -ショッピング・モール

ジョヴァンニ &マレッラ・アニェッリ絵画館

1920年代の自動車工場が、コンペ案により複合施設に改修されました。

当時の建築の特徴的な部分を活かしながら、改修された時代を明らかにする機能とデザインを付け加えることで二つの時代が共存する空間になりました。