奥村まことのブログ 吉村順三先生に学んで

 

二分三厘

2012年10月16日

7ミリである。日本の建物の材料といえば杉。二分三厘といえば、つい最近までの住まいにおいて、押し縁の外壁、天井板、軒裏などあらゆるところにあった。しかしこれは鋸という刃物による厚さである。それ以前はすべて「へぐ」というやり方と「ちょうな」での加工であって、天井板は薄いが、屋根板は1寸二分の四つ割りだから三分厚。屋根のへぎ板は木材の繊維を損ねないから水が漏らないしギザギザが樋状になっている。天地返しと裏返しをすれば30×4=120年もつ。天井のへぎ板の、100年経っても変わらない、あの輝き!鋸挽きは、そうは持たないが二分三厘は家全体に杉の合理的な使い方を約束し、やさしい空間をつくる。「へぐ」と「ちょうな」の時代は過ぎたが、吉村先生は「和」の住まいで合板と一緒に、二分三厘の杉板を教えて下さった。