傍聴者より大学へ意見書を提出
傍聴者より大学へ意見書を提出
2010/11/15
愛知県立芸術大学
事務局長 竹内弘明殿
拝啓 秋も深まり、皆様ご健勝の事と心からお喜び申し上げます。
愛知県立芸術大学施設整備ビジョン検討会について、9月に質問書を提出させていただいた後、部会、検討会と傍聴させていただきました。
そのなかで疑問が解決した部分もあり、新たに疑問を感じる部分もあります。
9月に伺った際、検討会の傍聴者で愛知芸大改築やビジョン検討会に疑問があり、それを大学に伝えたいと思っている方のお名前を教えてください、とのことでしたので今回それをお伝えすると共に、以下の意見書もお渡しします。
・9月の第5回検討会の傍聴者3名の意見書(9月14日に寄せられました)
・音楽学部卒業生、教育者、音楽家が篠田宛に送ったコメント。(参考意見)
今後の検討会において、このような疑問が解決され、より発展的な議論になることを望んでいます。
敬具
有志代表 篠田 望
美術学部大学院第20期生
傍聴者氏名 (傍聴した検討会)
秋山 信行(第5回~6回検討会、第1回~2回部会)
石田 信男(第1回部会)
川村 純一(第5回検討会)
久保田 裕(第2~3回検討会)
篠田 望(第5回~6回検討会、第1回~2回部会)
野田 理吉(第1回~第5回検討会)
山本 圭介(第5回検討会)
9月14日付の質問事項(上段)
_その後の検討会で回答されたと思われる内容、回答に対する新たな質問(下段)
1)県芸大ビジョン討論会においていろいろな事が議論されていますが、決議の基準がよくわかりません。委員の意見を元に判断決定権は大学にある、という事になるのでしょうか。
_第2回部会で長谷座長より、ビジョン検討会は決定機関ではなく決定は大学が行う、との説明がありました。
2)現在のところ見受けられるマスタープランはどれも大幅な改築となるものばかりであり、建物の保存を前提としたものが見受けられません。今後、建築の保存を前提としたマスタープランは出てくるのでしょうか。出てくるとすればそれはいつになりますか。
_2008年3月の法人マスタープラン「2007年度全体構想案」は、必要なボリュームを置いただけで今後は、ビジョン検討会で新たに検討していく、との説明がありました。必要なボリュームを置くだけならデザイン科の教員、学生でも作業ができ、建築的な専門知識を求めて日建設計に発注した理由がわかりません。必要とされるボリュームを置くだけの作業でキャンパス全体のレイアウトが変わる理由も不明です。“別の場所に建築する県の計画を進める” と第5回ビジョン検討会議事録に記載された 新音楽学部棟の基本設計は、「2007年度全体構想案」の位置に計画されています。
音楽棟も含めた保存を前提としたマスタープランは出てこない、既に日建設計に音楽学部棟実施設計の発注がされている、とすると「2007年度全体構想案」が、ボリュームを置いてみただけ、という説明では納得できない部分があると思います。
3)討論会において音楽棟の事ばかりが取り上げられ、全体計画の話が進みません。ビジョンの討論会という事であるので全体計画が優先して語られるべきだと思うのですがこれは何故ですか。
_検討会中二人の委員の方がフライングという表現をされています、そのように音楽棟の基本設計、実施設計の発注がされたと思われます。
4)討論会では学校を保存しようというお考えの方が少ないように見えます。このような人員構成になったのは何故でしょうか。委員が決められた経緯を教えてください。
_回答はないように思います。
5)討論会の委員には長の肩書きを持ってらっしゃる方が多いようですが、それらの人々はその部門の声を反映してお話されているのでしょうか。
_添付の質問書を美術学部同窓会会長の江口委員に送りましたがご回答をいただいていません。
10月以降の部会、検討会に対する質問
6)外部委員から正しい議事録が公開されていない、意見書が検討されていない、との意見があります。有識者の意見書が配布され、大学がどのように回答したかの報告にとどまり、部会、検討会で議論されないのはなぜですか。
7)部会の開催日程や議事録は、大学のホームページで発表されないのですか。
以上
第5回ビジョン検討会(9月3日)傍聴者の意見書 1
秋山信行と申します。
第五回の検討会を傍聴させていただきましたが、(会議の印象について、意見申しあげれば)将来に向けてのビジョンを検討する会議としての目的?会議・議論の目標が、まったく見えてきませんでした。
第一回目から音楽学部校舎の改築を早急に望む議論だけで開学以来40年間、使ってきてよかった部分、良いところを再発見 探すという議論・提案がありません。発言されるご意見は、現音楽学部使いにくいこと、音が漏れるということのみ、原設計者は 40年前に、低予算で可能の限りの階高や二枚木製ドアで 音漏れを防いで、最小限の対応で我慢せざるを得なかったこと であったと、思われます。その後何も、改修されていない有様。改修することを、見限ぎられたので、ありましょうか。(完璧でなくとも、改良は必ず出来ます。)
予算がとれる時期があっても、それらの改良や改善がなされず施設拡充や増築のみで、今まで使い続け、建物に愛情や馴染みがきっとあったであろうレッスン棟の内部は、40年前の低予算の時代の儘であります。施設の成長をはぐくみ育てるお気持ちが・その内部に・使われていた先生方の育てる思いやり・改善示唆・改善成長の形跡を感じませんでした。
レッスンの休憩時間には、きっと窓から眺められる風景に、そして自然の移り変わりに目をやると空・緑の解放感に癒されたことと思います。そのような価値をも全く見いだせなかったのでしょうか。建築の配置は、自然にはぐくまれた環境との、その一体感に添え、大地への賛歌だと思います。今の場所で、なぜ学び舎の40年目の成長・将来への歩みを育てる愛情・熱意をはぐくむことができないのでしょうか。
使われてきた音楽学部の先生方の中で、お一人も今の学舎に、愛情や愛着を感じておられる先生方は、いらっしゃらないのでしょうか。
PS
現在 寮など新築されたわけですが、元の寮やレッスン室も少ないといわれている練習ブース確保のため、模様替えや防音扉を整備して、広いゆったりとしたスペースを使い続けるべきだとおもいます。
よろしくお願いします。
第5回ビジョン検討会(9月3日)傍聴者の意見書 2
愛知県立芸術大学施設整備ビジョン検討会 御中
東京藝術大学建築科出身の川村純一と申します。
今までに海外を含めていくつかのキャンパスを見てきておりますが、先日、久しぶりに愛知芸大を訪ねて見て、愛知芸大のキャンパスは,世界に誇れるものだとの確信をいたしました。
なだらかなランドスケープを取り込んだ配置は、樹木の成長とともに、その素晴らしさを増しています。
当初の計画からの学生数がかなり増えていることや、建物の維持管理や改修がほとんどなされて来ていない様で、手を加える必要に迫られている事は容易に理解されました。
今後の改修、増改築に於いて、重要だと考えた事は、世界の誇れるキャンパスの骨格を維持してほしいこと。
大学は、その歴史の蓄積であり、そこで学んだ人々が懐かしく愛しているものだと思います。その愛情によってこそ、母校に誇りを持った優秀な生徒 が生まれると思います。
従って、今後の改修増改築は、愛知芸大を愛し、そのキャンパスの良さを理解する者でないと出来ないと思っています。
川村 純一
第5回ビジョン検討会(9月3日)傍聴者の意見書 3
まず久しぶりに愛知芸大のキャンパスを訪れて、周辺の緑豊かな環境を生かした
キャンパスの骨格のすばらしさに感激しました。
この骨格はどうしても残すべきである、ということがビジョン討論会で、
まず第一に確認すべき点だと思います。
次に具体的議論を傍聴していると、
音楽学部の校舎に愛情を抱いている先生方が、一人も居ないことに驚きを感じました。
これは音楽学部の先生方の総意なのか確認したいところです。
また現校舎の遮音性能向上は本当に不可能なのか、
いままでにその改修方法について突き詰めた議論がなされたのでしょうか。
それをもとに改修、改築を含め、今後の方法が議論されるべきだと思いますが。
山本圭介
音楽科卒業生、音楽家、教育者からのコメント
・メンテナンスをせず、放置しておいたという問題に触れずに、老朽化したから建て替え…というのは卒業生として正直なところ納得がいきません。
・「修繕のしようがない」と言われると、建築についての専門家ではないので、真偽のほどがわからず、それ以上何も言えなくなってしまいます。実際はどうなのでしょうか? プロフェッショナルな方から見ても本当に修繕のしようがないくらいの状態なのでしょうか? 実は、工夫次第で修繕はまだまだ可能なのでしょうか?
・音が漏れるとか、天井が低いという意見があることは聞いておりますが、私たちが学生のころは、天井が低いなら低いなりに、狭いなら狭いなりに工夫して練習していた記憶があります。勿論当時より古くなっていますし、練習室が不便なのは確かにあると思いますが、それは工夫すればいいことではないでしょうか?
工夫するという発想をせずに、建て替えというのは、少々安易なのではと思います。
・真偽のほどはわかりませんが、改築よりも建て替えの方が予算を取りやすいという事情があるのでしょうか? もしも、そういう事情があるのであれば、それ自体が問題ではないかと思います。
・モノを大切にする心は、芸術にも大変重要だと私は考えております。
・建て替えのお話を聞いた時に「え?どなたも反対されないのですか??」と大変驚きました。
・それでも建て替えをするというのであれば、今後このようなことにならないよう、完成後メンテナンスはどのようにするのか? 耐久性はどのようなものなのか? など、今回の反省をしっかり踏まえた設計にしていただきたいと思います。
・音楽だろうと美術だろうと科学だろうと、古いものから昔の方々の知恵をいただいたり、いつの時代も色あせない普遍的なものを見つけるのが個人的には好きですし、音楽家としても心の専門家としてもとっても大切なことだと考えております。
ですので、残すべきものはきっちりと残していくべきだと考えております。
(実際、コンサートで私が選ぶ曲も、常にその視点から選んでいます)
・物理的環境を整えることは確かに学生さんや教員にとって一つのモチベーションになるかもしれませんが、物理的環境に恵まれることが必ずしも学生さんの質の向上につながるというわけでもないと思います。
・物質的&状況的にあまりにも恵まれた環境の中では、深い気づきは得られないとも思っておりますので、多少の不便は、学生の成長のために大いに賛成です。
篠田さんはじめ皆様の活動が、日本という国全体が忘れかけている大切なことを、一人でも多くの方が思い出すきっかけになることを、心より願っております。