平成22年総務県民委員会 本文

2010/06/29

(主な質疑)

《一般質問》

【浅井よしたか委員】

 吉村順三氏が設計した県立芸術大学について、いろいろな議論が起きている。そもそも愛知県として、県立芸術大学の建物をどのように評価してきたのかが問題の本質だと思う。まず、県立芸術大学がいつ建てられたのかを確認する。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 県立芸術大学は昭和41年の開学である。校舎の整備は開学前から始まり、学年の進行に合わせて、昭和49年度までに、講義棟、音楽学部、美術学部の校舎、奏楽堂、芸術資料館などの主要施設を整備してきた。


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【浅井よしたか委員】

 開学から40年以上が経過し、建物は大変古くなってきている。私の調べたところでは、県立芸術大学の管理が県民生活部の所管になったのは割と最近かと思う。それまでは、どこの部署が管理してきたのか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 県民生活部の学事振興課ができる前は大学改革室という組織があった。それ以前は、総務部私学振興室で、主に大学の管理の担当をしていた。


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【浅井よしたか委員】

 学事振興課の管理になったのはいつからで、どのように管理されてきたのか。


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【学事振興課長】

 平成12年度に本庁再編があり、平成11年度までは総務部私学振興室で担当していた。平成12年度に県民生活部ができ、課室の変遷はあるが、そこから県民生活部が所管している。


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【浅井よしたか委員】

 県民生活部が所管してからの約10年間、吉村順三氏の建築や、県立芸術大学の建物に対してどんな意識を持っていたのか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 県立芸術大学が平成18年度に発行した創立40周年記念誌の中でも、昭和46年に建築専門誌で掲載された吉村順三氏と奥村昭雄氏の設計思想を紹介しており、県立芸術大学の施設は我が国の近代建築の第一人者である吉村順三氏の設計によるもので、建物の価値は高いということは十分認識してきた。


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【浅井よしたか委員】

 新聞報道によると、改修や改築等についていろいろな試算がされているようで、県の試算では改修なら約100億円、改築なら約200億円かかると報道されているが、これは正しいのか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 これは平成18年度に県が改修基本計画の委託調査で、県立芸術大学を全部改築した場合、改築と改修と修繕をした場合、全部改修した場合の3ケースについて工事費の比較検討を行っている。新聞に出ているのは、改修だと改修費のみで、改修に伴う仮設施設の費用は含まれていない数字だが、当時の調査で算定された数字である。


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【浅井よしたか委員】

 これはどこが試算したのか。県当局なのか、どこかに委託したのか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 改修基本計画委託調査は、民間の建設コンサルタントへ委託して積算等を行った。


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【浅井よしたか委員】

 財政的にも大変苦しい中でどのような方向でやっていくのかは、全体の計画を考えなければならない。2月定例議会における富田昭雄議員の議案質疑の際に、マスタープランはないと県民生活部長は答弁した。しかし、本日の新聞では、「県がキャンパスを大きく造り替える大学側のマスタープラン(整備計画)を認めた内部文書を作成したことがわかった。大学側の計画について、県は、県議会で認めていないことを表明しており、この文章が事実なら虚偽答弁になる。」と厳しいことが報道されている。マスタープラン又は全体計画みたいなものはあるのか。


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【学事振興課長】

 新聞に記載されているマスタープランとは、大学を運営している公立大学法人が平成20年3月11日に県へ提出したものである。その概要は、一期と二期に分かれており、二期については将来構想のようなもので、ほぼ全面改築という案であった。建物への文化的な配慮が欠けており、県財政が厳しい状況なので、その時点では県としては認められないということで対応した。


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【浅井よしたか委員】

 公立大学法人が作成したマスタープランは、県としては認めていないのだということはわかった。しかし、音楽学部棟を建て替えるという結論を出して方向づけるためには、全体計画が必要であったと思うが、県としての全体計画が別にあるのか。


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【学事振興課長】

 県としては、公立大学法人作成のマスタープランは認められないが、その大学の整備を果たしてどのように進めるのかは当然ながら問題になった。それについては新聞にも記載のあるとおり、「緊急整備対応指針」を平成20年3月末に策定し、大学の意向を踏まえて、緊急度の高い施設から県が順次整備していく方針をとり、それに基づき、現在整備を進めている。


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【浅井よしたか委員】

 「緊急整備対応指針」を作り、緊急度の高い順番でやっていく方針を立てたということなので、結論としては県としての全体計画は持っていないということだが、昨年、音楽学部棟の基本設計を行っている。土地が丘陵地であるなど、配置計画や全体計画があって、そして建物の立面や間取りを決めるのが基本設計だと聞いているが、昨年基本設計した際に、全体計画については検討していなかったのか。


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【学事振興課長】

 全体計画は、今は大学も県も持ち合わせていない。個別の対応で、音楽学部校舎の基本設計を行ってきた。


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【浅井よしたか委員】

 現在の厳しい財政状況もあるので、基本設計をする際には、やはり全体計画をきちんと策定すべきだと思う。もちろん大学の要望も大切であるし、県の担当部局と建築に詳しい第三者の有識者の方も入れて検討委員会などを作り、全体の計画を策定し、議会に示してもらいたいがどうか。


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【学事振興課長】

 検討委員会の中で、全体を考えて整備する必要性はあると考えている。実は、大学法人で、施設整備のビジョンを決める検討会を発足させると聞いている。大学の内部だけではなく、有識者も加えるようである。


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【浅井よしたか委員】

 大学は法人になっているが、県が税金を使って整備していくことである。検討委員会については、大学が主導でやるのではなく、ぜひ県の主導で透明性を持って検討してもらいたい。


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【学事振興課長】

 県も検討委員会にオブザーバーとして参画を求められている。前回、大学法人のマスタープラン作成の際には、法人が独自に作成した経緯があるので、県も大学と相談、調整しながら全体構想の作成に協力していきたい。


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【浅井よしたか委員】

 土地は法人に渡していても、建物は県のものであるので、県民にもきちんと説明できるように、県が主導して検討するよう要望する。予算書のことに関しては、これからもわかりやすく透明性を高めてもらいたい。

 今回の県立芸術大学の建て替えのことについては、基本的に公共建築について評価をする仕組みができていないのではないかと思う。非常に難しいことだが、県立の建物について、有識者の協力を得ながら、しっかりと評価をして、それに基づいて長期的な改修計画を立てる仕組みを探っていかなくてはならないと思うが、どうか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 県施設全体のことになると他部局の所管になるので、県立大学、県立芸術大学を所管する学事振興課の立場として答弁するが、建築物の評価には、いろいろな価値観や考え方があると思う。例えば、年数を重ねることで価値が出るものや、建築者、設計者が亡くなって数十年して価値が出てくるものがあり、建物によって事情も異なり、評価も建物によって大きく変わってくるのではないかと思う。評価のポイントをどこに置くかによって価値が変わってしまうので、なかなか難しいことである。

 したがって、建物の建て替えの必要性が出てきたときに、建築の専門家やいろいろな立場の方から意見を聞きながら、建物の評価について検討すべきものだと考える。


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【浅井よしたか委員】

 今の答弁だと、建物を建て替える時期にならないと評価できないということである。新聞記事でも、これまで改修してこなかったことが指摘されていて、学事振興課の担当者が「改修については私たちも反省すべきだと認めている。」と述べている。建物を建て替える時期になってから建物を評価するのでは遅い。県立芸術大学も開学して40数年が経過しており、改修等について検討するのが20年遅いと思う。昭和60年くらいには改修等を検討すべきであった。今の答弁では長期計画もできないし、メンテナンスをしていなければ維持できる建物も維持できなくなる。


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【学事振興課長】

 建物については、基本的な修繕などやるべき時期があるだろうと認識している。日常的な修繕は当然やってきたが、定期的なメンテナンスについてはやってこなかったという実情はある。


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【県民生活部長】

 委員指摘の点は、県の施設をそれぞれ評価して、しかるべき建物には早めに手を打ったらどうだという趣旨かと思う。実は、相当の県有施設があり、県が台帳などで認知しているのは、建設時期、大きさ、用途、設計者名、施工会社などの情報であり、建物の価値を判断するのはなかなか難しい。そういった価値評価は、おそらく総務部財産管理課が所管することであるが、実際には評価してないと思う。

 県立芸術大学には51棟の建物があり、それも建築期間が昭和40年代から昭和60年代の30年にわたっている。そのうち、吉村氏が設計に関わったのは、40年代に建てた35棟であるが、実際にその評価は難しいとしか言いようがない。

 建築家が亡くなった、あるいは賞を取ったから評価が上がることもあり、建築家があまり造らなかったから希少価値があるなど、いろんな要素があり、統一的な指標がない。そういった評価をしたことはない。

 今後は、それぞれ所管する部局で様々な要素を加味しながら、建て替えの時期ではなくてもしっかりメンテナンス等をやっていくことが、県有財産の保持という観点からも有益なことだと思うので、適切な方法等については他部局とも検討していきたい。


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【浅井よしたか委員】

 すべての建物を評価することは難しいと思うが、今回のことを教訓にして、建物を価値評価する視点を入れるべきである。有識者によっても意見は違うと思うが、建物についての意見をオープンにし、県当局の方針を議会にも提示してほしい。建物の保存やメンテナンスに財政負担をかけないやり方が提起されているので、ぜひ県民生活部長が主導して他部局にも働きかけをするよう要望する。


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【田辺克宏委員】

 以前、県立芸術大学を視察したときに、施設の老朽化がひどいと感じた。県として、県立芸術大学の施設の現状を、どう理解しているのか。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 今回建て替えを予定している音楽学部棟の状況については、非常に老朽化していることに加え、防音性能も十分でなく、隣の部屋はおろか2階上の練習室の音がレッスン室に漏れて聞こえてくる状況にある。また、天井高も低くて、バイオリンの練習中に弓が天井に当たることもあると聞いている。このように、教育研究施設としては十分な機能を備えていると言い難い状況であり、早急な対応が必要だと感じている。


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【田辺克宏委員】

 以前視察した際に、大学の施設状況について音楽学部の学生に尋ねたが、高校の設備よりも悪いとのことだった。建物の価値なども結構だが、大学の主役である学生が勉学にいそしむことができる環境を整備することが最も大事である。

 そこで改めて確認するが、今年度の予算を何に使うのか、これから県立芸術大学の整備をどうしていくのか、学生の教育環境をどう守っていくのかという点についてしっかりと答弁してほしい。


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【学事振興課主幹(公立大学法人・宗教法人)】

 芸術大学の音楽学部校舎整備費は全部で1億1,113万8,000円である。事業の内訳は、音楽学部校舎の実施設計に係る経費が5,282万3,000円、これに加えて地質調査費が904万1,000円、建設準備のための既設建物取壊し経費が4,927万4,000円である。既設建物取壊し費については、音楽学部校舎建設予定地にある学長公舎と、建設工事の際に現場工事事務所や資材置場用地としての活用を見込んでいる学生寮について取壊しを予定している。

 県立芸術大学の施設整備を今後どのように進めていくのかという点については、大学の施設は教育研究を行うための施設であり、整備にあたっては、学生に良好な教育研究の場を提供することを第一に考えるべきであると考えている。今回の県立芸術大学の整備についても、先ほど課長が答弁したとおり、県立芸術大学で有識者や県も参加するキャンパス整備の検討会が近々発足する。この検討会については、施設の配置計画や、施設ごとの改修と改築の区分、整備の順序立ての3点について検討していくと聞いているが、検討会での専門家の意見を聞きながら、将来の整備構想を取りまとめてもらい、その構想を参考にしながら、県の方でも施設整備を進めていきたい。


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【田辺克宏委員】

 今の答弁では、大学が方針を決めて、それを聞いて県がどうするのか決めると聞きとれた。完成したら大学に移管する建物とはいえ、県が作る施設であるので、県が計画段階からしっかりと意見を述べてもらわないと、また同じことが繰り返されるのではないかと不安である。

 私が最も気になっているのは学生のことである。学校の改築がやっと始まったのに、学生のための環境整備が遅れることがあってはいけないと思う。県がしっかりとした立場で意見を述べ、適切な立場で対応してもらいたいが、どうか。


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【県民生活部長】

 委員の指摘のように、まさに大学の使命と言うのは良質な教育環境を保証すること、あるいは研究環境を保証することだと思っている。先般、議論がかみ合わないところでの批判を新聞記事にされたことに関しては非常に残念だと思っている。

 今月中にも発足させる大学整備ビジョンの検討会には、建築の専門家や価値ある建築物の保存活動をしているDOCOMOMO Japanの関係者、県立芸術大学を設計した吉村順三氏の関係事務所の方にも参加してもらい、多面的な議論を交わしてもらおうと思っている。県もそこに参画するが、大学として本来の良い環境を保証していくためにどうしていくのかということを、大学として一つになって方向付けしてもらいたい。県としても、どうやったら県民の税金を一番効果的に投入できるかという観点からの考えを持っているので、県の意見を伝えて、良い計画にしていきたい。

 その中で、特に劣悪な環境であった音楽学部については、今年度予算を認めてもらい、実施設計まで進んでいる。この点については、マスタープランに沿って今回の実施設計が進んでいるのではないかと新聞報道にあったが、実はそうではない。

 際限のない計画として大学法人から提出された前回のマスタープランについては、県として認めなかったが、今回はそういったことにならないように、地に足のついた、そしてできるだけ早く学生たちに良い環境を提供できるように進めていきたい。


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【金澤利夫委員】

 「県が計画容認の文書。県立芸術大学建替え問題。県議会で虚偽答弁か。」こんな大きな見出しの新聞報道があった。この記事の中で、「県がキャンパスを大きく作り変える、大学側のマスタープランを県が認めた内部文書を作成していたことがわかった。大学側の計画については、県は県議会で認めていないことを表明しており、この文書が事実なら、虚偽答弁になる。県の担当者は文書の記述は間違いと話している。」と報道されている。

 2月議会の答弁の中では、「ご指摘のマスタープランについては、これは公立大学法人が独自に試案として作成したものでありまして、設立者の県の整備計画として認知されたものではございません。したがって、今回の音楽学部校舎の整備も、それに基づき進めているものではありません。」と、このように否定している。理事者の答弁内容が議会に対して虚偽説明であるとした記事に対して、県当局の見解を県民にしっかりと示してほしい。


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【県民生活部長】

 委員が引用した2月議会での私の答弁のとおりである。マスタープランは法人が試案として作ったもので、県が整備計画として認知したものではない。そして今回の音楽学部校舎の整備も、このマスタープランに基づいて行っているものではない。これについては、まず確認をさせてもらう。

 では、どうしてこういう記事になったのか述べる。平成19年4月1日に、県立大学が地方独立行政法人化され、愛知県公立大学法人が発足した。そのときに、県立大学はすべての建物、土地を平成19年4月1日に法人のものとして出資しているが、県立芸術大学については、土地だけ出資し、建物は県が整備をした後、出資するとした。それは膨大なお金がかかるからで、法人にそれだけの経費を回収する力がないことが理由である。

 平成19年に大学法人は整備計画を作り、同年10月に、整備基本計画、6万平方メートルの全面改築案を県に提示したが、過大な計画であったために、県としては認められないという判断をした。もう一度、県と法人でいろいろ議論したが、その中で、音楽学部棟と講義棟については老朽化が激しいので、全体計画は別として、優先的に整備してほしいと要望があった。これについては県も異論はないので整備しようと取り組んできた。その流れの中で、大学法人は平成20年3月11日にマスタープランを県に提出した。県の立場は先ほど述べたとおりで、膨大な計画については、財政的に厳しい中で、全部改築でいいのかという議論があった。平成18年度には日本建築家協会からの25周年賞を受賞し、平成19年12月には講義棟やアトリエ棟、奏楽堂の建物群がDOCOMOMO125選に選定された。県としては、DOCOMOMO Japanに選定された建物群のうち3つの建物は貴重だと認識していたので、過大なマスタープランは無理だと述べてきた。

 そこで、平成20年3月31日、県は緊急整備対応指針を策定した。年度が替わり、平成20年5月に、県立芸術大学の施設整備立地調査の仕様書、要するに調査するための仕様書を建設部の公共建築課が作った。そこには、「本業務は緊急整備対応指針に基づき、マスタープランのゾーニング計画第I期構想にある一部の改築予定施設について、いろいろな条件を整理して、建築の基本計画などを作るという業務である。」ということが書いてある。ここでマスタープランが出てくるために、県は認めていないとしながらも、それに沿った方針を策定しているではないかとの記事であった。

 マスタープランは膨大な計画で、I期とII期がある。ゾーニング計画第II期構想は将来構想のようなものであり、全部建替えである。あったらいいなという計画みたいなもので、すべて改築である。これは、実現可能かどうかという面でも非常に疑問である。丘陵地、傾斜地の非常に多い中で、全部平地にしている。こんな造成が可能かという問題もあり、平成19年にこれは無理だと伝えていた。その中で、早期にやってもらいたいというのが、マスタープランのゾーニング計画第I期である。

 そのゾーニング計画第I期では、音楽学部校舎や講義棟の改築の案が示されている。県は緊急整備対応指針に基づいて委託調査を行ったが、第I期のゾーニング計画の2つの施設が当然入っている。私どもの文書では、このマスタープランを引用していないが、ただ、建設部が施設整備立地調査の仕様書を作るときに、そういう緊急整備対応指針とマスタープランゾーニング計画第I期構想にある一部の改築予定施設について調査すると書いてある。だから平成20年の5月に作った施設整備立地調査の仕様書が、全部改築だというマスタープランに沿ったものではないと明らかになる。

 ただし、担当者が最後に言っているが、仕様書の書き方で若干整合性が図られていなかった。それはどの部分かと言うと、その前に、マスタープランが示され、これと整合を図った緊急整備対応指針が策定されたと書いてある。これが間違いである。マスタープランと整合を図って、緊急整備対応指針を作ったわけではない。

 事実は、以上述べたとおりである。マスタープランを認めて、この委託調査を行い、そして昨年度の基本設計、今回の実施設計、そして音楽学部校舎の建設、こういう筋書きではない。私どもは緊急整備対応指針を作り、調査をし、そしてその中で実は平成20年にこの調査をやった。その結果を受けて講義棟と音楽学部棟の計画がでてきた。その中で、私どもは最後まで予算が決まらなくて、復活要求したわけだが、音楽学部校舎に絞って、予算要求を平成21年1月に行っている。そして、音楽学部校舎の基本設計を平成21年度の予算として議会で認めてもらい、その流れで今回の実施設計がある。

 マスタープラン計画容認の文書が出てきた、県議会で虚偽答弁をしたという記事は、見出しだけ踊っているが、明らかに正しくない記事だと思っている。


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【金澤利夫委員】

 答弁を聞いていると、知事部局内の調整が十分図られていたのかなと感じてしまう。

 責任者である部長は、この記事を否定するなら、この場でどこが間違っているかを明らかにしてほしい。


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【県民生活部長】

 先ほど述べたとおりで、まさにマスタープランにのっとって調査をやったのではない。このことに尽きる。


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【金澤利夫委員】

 議会に対して、こういった議論をする場合には、説明不足のないように今後はきちんとした対応を取っていただくことを強く要望する。